さよなら、ブラック
一緒に映画を観に行くことはもちろん緊張感を高めたが、魚のウロコのような模様のカットソーと、真っ赤なタイトのパンツを履いている歩の隣を歩くことも、わたしにはかなりの勇気がいった。
顔だって端整だし、清潔感もあるのに、この服のセンスだけは受け入れられなかった。
これはこれで、いいのだろうか。
わたしが無難な服が好きなだけで、見る人が見れば、これはイケているんだろうか。
そんなことを考えているわたしをよそに、
「じゃ、行こっか」
と言って歩は立ち上がり、その真っ赤なパンツについた芝生を払った。