嘘つきな恋




「…空ちゃん?どしたの?」


あたしの前に座る知紗が、不思議そうにあたしを見上げる。


「…あたし、
…急用を思い出しちゃったっ!
だから、ごめん、帰るねっ!」

「えっ!?ちょ、空ちゃんっ!!」


これ以上、ここには居られないよ…。


だって、どんな顔して歩くんに会えばいいの…?


あたしには、分からないよ…。

荷物を持ってあたしは早足でお店を出た。


出る時に、歩くんの悲しそうな顔が一瞬だけ目に入って、
あたしの胸に少し罪悪感が残る…。




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