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「よし、行って来い!!」
「うん!!」
あたしの頭をポンポンと叩いたと同時に、あたし達はゆっくりと離れた。
お互い、目を見つめながら反らさずに
「行ってきます!バイバイ飛翔くん!!」
そう、目の前で小さく手を振ると、飛翔くんの顔を見ずに車に乗り込んだ。
やっぱり嘘が下手な飛翔くんはその時、その時の表情も素直に顔にだす。
今はきっと悲しそうに笑っているだろう
そんな姿を見てしまったら、バイバイができなそうだ
そう、あたし達に次逢う約束なんてない。
付き合おうとか、そんな形も契約すらない。
今までは形を求めてくる男たちがうざくてしょうがなかったのに、今日は初めて、形というものが欲しいと思ってしまった。
車のキーを回しエンジンをかけると、飛翔くんも自分の車に乗り込むのが嫌でも視界に入る
「行きたくない……」
そう呟きながらも、ギアをドライブに入れ、ゆっくりとアクセルを踏んだ。
ハザードランプを押し、バックミラーで確認すると飛翔くんが片手を挙げている姿が映った。
出来る事なら、その姿を形に残しておきたいだなんて思っている自分がいる。
露地を左にウインカーを出し、曲がったあたし
右にウインカーを出し、反対方向に曲がった飛翔くん。
その車がバックッミラーで見えなくまるまで、ゆっくりと走った。
あたしは店
飛翔くんは家
次はいつ逢えるの……?
そう言ってしまいたかった想いをグッと堪えて、あたしは飛翔くんの車が見えなくなった瞬間にアクセルを強く踏み店へと急いだ。