~color~



「お前、本当ににちっちぇ~な」


「飛翔くんが大きいの!!」



なぜだか、この距離が変に緊張してしまう。


飛翔くんがあたしを見下ろすと、なんだか体全身が包まれているような、


そんな感覚に陥るから……



もう一度、しがみつくと目を瞑り、また飛翔くんの心臓の音を聞いていた。



「飛翔くんの心臓の音が聞こえる……」


「バカ!!恥ずかしいから聞くなよ!!」



どんどん速くリズムを打つ飛翔くんの心臓の音……



ずっとこうしていたい……



そう思いながら、離れられずにいる。




どうしたらいいのだろう。



あたしは、どうしたら……



自分でも、もう分からなかった



こんなにも、誰かを求めてしまうこと



それが、辛く苦しいもので



心が痛い……。




静かに目を開けると、飛翔くんが上からあたしを見下ろしているのが視界に入った。



「飛翔くん、心臓の音はや~い!!」



「はっ?お前うぜー!!」



「トドキドキしてるんだもん」



「うるせ~な!!するだろ!!」



「もしかして緊張してる…?」



そう言いながら、少しからかうと頭をポンッと叩かれ、あたしは舌をだした。




「車、行こうか?」


「うん♪」



その言葉に、飛翔くんよりも先に車の助手席に乗り込んだ。







< 139 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop