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「お前、本当ににちっちぇ~な」
「飛翔くんが大きいの!!」
なぜだか、この距離が変に緊張してしまう。
飛翔くんがあたしを見下ろすと、なんだか体全身が包まれているような、
そんな感覚に陥るから……
もう一度、しがみつくと目を瞑り、また飛翔くんの心臓の音を聞いていた。
「飛翔くんの心臓の音が聞こえる……」
「バカ!!恥ずかしいから聞くなよ!!」
どんどん速くリズムを打つ飛翔くんの心臓の音……
ずっとこうしていたい……
そう思いながら、離れられずにいる。
どうしたらいいのだろう。
あたしは、どうしたら……
自分でも、もう分からなかった
こんなにも、誰かを求めてしまうこと
それが、辛く苦しいもので
心が痛い……。
静かに目を開けると、飛翔くんが上からあたしを見下ろしているのが視界に入った。
「飛翔くん、心臓の音はや~い!!」
「はっ?お前うぜー!!」
「トドキドキしてるんだもん」
「うるせ~な!!するだろ!!」
「もしかして緊張してる…?」
そう言いながら、少しからかうと頭をポンッと叩かれ、あたしは舌をだした。
「車、行こうか?」
「うん♪」
その言葉に、飛翔くんよりも先に車の助手席に乗り込んだ。