~color~
「あっ!!またクーラー24度になってる~!!」
「だから言ったろ?流奈仕様だって!!」
設定されている
あの日以来、暑がりな飛翔くんが寒がりなあたしの為に24度に設定してくれている。
嬉しかった
自然と笑顔が零れるのが自分でもよく分かる……
そのあたしの姿を見ている飛翔くんも、なんだか嬉しそうで微笑んでいる。
「なぁ?」
「んっ?なに?」
「なんか、車乗って感じない?」
「えっ?なにか違うの?」
「当ててみな?」
“はい……?”
何かが違う?
少しだけ勝ち誇って腕を組み加えタバコを咥えている飛翔くんを横目で見ながらも、キョロキョロと辺りを見渡した。
「エアコンの温度は、当てたし…なんだ?灰皿?変わってないか…」
車を降りて外装を確認したけど、これと言って変わりはない。
「わかんないよぉ~!!」
「わかんねぇーの?」
「あっ!!」
「分かった?」
「やっぱわかんない……」
「なんだ、それ」
「アハハハッ」
全くもって分からない。
飛翔くんは、肺にためていた煙をいっきに吐き出すと、それを灰皿に押し付けた。