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「おはようございます」
いつも通りの出勤
いつも通りの挨拶
なんも変わらないあたしの出勤スタイル。
「伊織~もうお客さんお待ちかねだよ」
「うん!」
〝プライベートは持ち込まない”
店へ足を踏み入れた瞬間に装着する仮面はあたしを簡単に消してくれる。
「じゃ、いきなりだけど準備できたら行くよ」
「はい」
その瞬間手に持っていたポーチから携帯を取り出すとメール画面を開く。
いつの間にか〝お客さん”のフォルダーから〝☆”のフォルダーを作り、そこにどんどん埋め込まれていった、つばさくんとのメールのやり取り。
そのフォルダーの開くと機能のボタンを押し削除の項目を出す。
大きく深呼吸をすると、それを押した。
〝-削除中ー”
その文字が点滅しているのを見ていると、なんだか自分の携帯が軽くなっていく気がする。
あたしどうかしていたんだ。
あのモヤモヤした気持ち……
それを打ち消すかのように
あの酷く痛んだ胸の痛み……
それを抹消するように
そう、あたしは誰にも変えられない……
そう心の中で小さく呟き「準備OKで~す」そう黒服に笑顔を向けると同時に携帯の電源を切りポーチへ雑に放り込んだ。