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「おはようございます」


「おっ!伊織久し振りだね♪大丈夫なの?」


「うん!!」


「でも少し痩せた気がする……」


「そうかな?」


そんな会話を店長と済ませると、さっさと更衣室に行きドレスに手をかけた。


ブーブーブーブー


バッグの中から聞こえるバイブ音に耳を澄ませながら手探りでそれを取り出すと黄色いランプが点滅していた。



《着いたかな?久しぶりの出勤で痩せたとか言われたろ?》



さっきまで、そんな会話など一切していなかったのに、どうしていきなり?とも思ったが、


そのメールの内容は、ズバリ当てられていて《誰のせいだと思ってんの?》と笑いながら返していた。



《今日見た瞬間、思ったから。終わったら連絡くれな》



そのメールを見ながら「飛翔くんのせいだよ」と一人呟きながら笑うと、鏡に映っていた自分を見つめながら、手に持っていた黒いドレスに視線を落とした。




あの日、この店で飛翔くんと出逢っていなければ


あたしは、きっとこんな風に笑えなかっただろう。



そして、こんな胸の痛みも喜びも知らなかった……




ドレスに着替えると、自分を見つめながら笑って見せた。



大きくなっていく飛翔くんの存在は、時々あたしを惑わせ苦しみの世界へと陥れる。



だけど、あたしはそれを失ったら悲しみの果てへと簡単に落ちて行ってしまうだろう



少しだけ緩くなったドレスはやっぱり少し痩せたのか、と感じさせてしまうもので



それでも、後ろに巻きつける大きなリボンをきつく締めると、店へと足を踏み入れた。





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