~color~


今でも走馬灯のようにあたしの頭の中を駆け巡る


翼……


星空をこうして見上げると、やっぱり翼の顔が浮かんでくる


10年経とうとしている今。


あの頃のままの翼の顔……


もしも生きていたら、翼は今28歳?


もういい大人。


どんな顔になっていたんだろう


どんな声で流奈って呼んでくれていたのだろう……


そんなことを考える。



初めて海へ行った時、あたしに砂浜に寝転がるように言った翼。


そこで翼とした会話……



目を瞑ると今でも鮮明に蘇ってくる。


ーーーーーーーーーーー

『きれいだね、翼!!』

『きれいだろ?俺さぁ、星好きなんだよな……』



『なんで?』

『なんかすげー安心するんだ、星見てると。』

ーーーーーーーーーーー



翼が大好きだった星空


あたしが大好きになった星空



「翼?本当に安心する……」


翼と同じ名前の飛翔を好きになってしまったのも、


単なる偶然じゃない気がしてきて、
まるで翼が何かを伝えにきたような気がする……



星空を見上げながら、あたしは笑い涙を拭いた。


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