~color~


「久しぶりだな!!」


その笑顔にあたしもつられて笑顔になる。


久々に逢えた、それだけで、涙が出そうにもなって……


それを必死にこらえた。



「うん、でもここ入れたんだ?」


「知らなかったろ?秘密の場所!てか、友達がすぐそこに住んでっから、いつもここに置くだけ!」


「そうなんだぁ~ここは知らなかったな……」



「とりあえず乗れよ!少しここから離れよう?奴に見られたら、また冷やかされるから」


「うん」



飛翔くんの助手席のドアに手をかけると、一瞬開けるのに戸惑った。



「おい、何してんの?ん?開けましょうか?お姫様っ!」


「えっ?ううん、違う!!平気、平気っっ」


その言葉と共に助手席に乗り込んだが


「流奈の車じゃまずいだろうからさ」って何気に呟いた飛翔くんの一言が重くのしかかってきて、思わずドアを閉めるのを忘れてしまった。



「お姫様?ドアは自動ではございませんが……」


「あ、ごめんっ」


その言葉に我に返ったら「やっぱり不思議ちゃんだわ~」とケラケラ笑う飛翔くんをじっと見つめた。



普通のカップルじゃないから……


分かっているのにいざ言葉に出されると心が痛くなる。


あたしなんかより、もっと心を痛めているのは、飛翔くんだってのに……



「さぁて、何から話してもらおうかな……」


ゆっくりと走り出した車……


飛翔くんは、決してあたしの方を見ない……


「えっ?」


「俺は聞くよ、全て……」


そう呟いた今までにない飛翔くんの真剣な顔を、あたしはしっかりと脳裏に焼き付けた。




< 96 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop