黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「で?
お前は何してんだ?」
「は?
普通に学生だけど」
「んじゃなくて、紅蝶のお前がなんで青龍の幹部やってんだ、って話」
「あぁ……」
長話にならないようなるべく簡潔に説明すると、今度はゲラゲラ笑い始めた。
「アイツらはしつけえからな?
頑固者や負けず嫌いが集まりみてえなもんだし」
「わかる、それ」
「そしたら〝優鬼〟っつー通り名が出来たってわけか」
「優しくなんかねえのに、みんなピッタリだっつうし、…ありえねえ」
「俺は優しいと思うぜ?
お前は」
なんでみんな私のこと優しいだなんて言うの?
私の、どこが優しいと見えるんだろうか。
不思議でたまらない。
「俺はみんな騙してっし、直に裏のトップに立たなきゃなんねえ人間だし…」
「裏のトップとかは関係ねえ。
それは仕事なんだから。
人の性格と仕事は関係ないだろう?」
「そうだけど…」
「それに、確かに海翔たちを騙してっかもしれねえ。
でも、入ったのは自分の意志じゃねんだろ?
海翔たちがしつこかったから仕方なく…、だろ?
だったら海翔たちにも非がある。
お前がそんなに悩む必要はねえだろうが」
コイツの言葉に、曖昧に頷く。
コイツの言うことは尤もだし、そうだと思う。
だけど、納得してない自分が半分いて。
だって、今は〝仕方なく〟いるんじゃない。
自分の意志で、〝ここにいたくて〟いるんだ。
青龍のみんなといると楽しくて。
黒蝶のみんなとは違った楽しさ。
どっちを優先するかって聞かれたらもちろん黒蝶だけど、青龍も守っていきたい。