黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
ひとしきり笑ったあと、なぜか翔さんは海翔を部屋から追いやった。
「…で、んなとこで何やってんだ?
紅蝶さまというお方が」
「なっ…!?」
「抗争んとき一度、会ったことあんだろ?
髪と目の色が違っても、顔までは変わんねえよ」
確かに、一度あの抗争の時会った。
ていうか、やり合った。
あん時はまだ私は総長じゃなくて、下っ端だった時だけど。。
そんな有名だったわけじゃねえのに、たった一度しか会ってねえのに。
なぜバレた?
「やり合って、この俺を負かした野郎の面は嫌でも覚えてるわ」
「…はぁ。
あ、そ。
お前、随分と落ち着いたんだな」
前はド金髪でギンギラしてたくせに、今は焦げ茶だ。
しかも限りなく黒に近い、焦げ茶。
「結婚したしな。
流石にあのまま、嫁の両親に挨拶行けねえだろ?」
「確かに。
鐘田組には?」
「俺は鐘田組には入ってねえよ。
嫁の為にも、将来いつか生まれてくる子供のためにもな」
「へえ。偉い」
「今度は上から目線かよ」
終始にこやかに笑ってるけど、何が面白いんだか。
つか随分丸くなったもんだ、うん。
人ってこんなにも変わるんだな。