黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








「何やってたの」






海翔の第一声がそれだった。


すっごい不機嫌。
それはもう、ね。

静かに無表情っていうのがまた怖いね、うん。





「思い出ばなしみてえなもん」


「思い出?」


「月夜くんと海翔たちの初対面はどうだったかとかだって」


「へえ。
ヨル、ほんと?」


「あぁ、本当だ」


「そ。
ならいいや」


「海翔、もうすぐ真那‐マナ‐帰ってくるぞ?」


「げ。
…ヨル、帰ろ?」





真那って、だれ?

真那って聞いた途端に海翔、顔歪めたけど。





「だめだめ。
真那も月夜に会いたがってたんだから」


「だめじゃない。
俺がヨルに会わせない。
会わせたくないから、わざわざ真那さんがいない今日連れてきたのに」



ガチャッ


「ただいまーっ!」






玄関から元気な女の人の声がした。


それと同時にドタバタとこちらに走ってくる音と比例するかのように、みるみる顔が歪んでゆく海翔。








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