黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
それから喧嘩が終わるまではあっという間だった。
地面に苦しそうに倒れ込む新太に、
それを余裕そうに見下ろす月夜。
「ぅ…、っく…ぁ」
「だーから、言ったじゃん。
見た目で判断すると良くないんだよ、って」
「………っ」
「今までたくさんいたんだよな、お前みてえな奴らが。
だからその度俺はソイツらを叩きのめした。
―――今みたく」
「ぅっ……」
「今後は、見た目で人を判断しねえことだな。
……っし!
ほら、立てるか?
肩貸すよ」
忠告した月夜は、肩を貸し、俺らを無視して二階へ言ってしまった。
二人の姿が消えて1・2分だろうか。
静まり返っていたのは。
みんな、呆然と立っていた。
………そうか。
青龍の下っ端も、月夜の喧嘩を見るのは確か初めてか。
驚くのも、無理はないよな。
「新太より強いかもとは、一目見た時から思っていたけど……。
んなに新太との差があるとは思わなかったよ」
「強すぎだろ…。
実力は申し分ない。
性格も問題ない。
……ははっ、こりゃ認めざるを得ないな」
放心気味にそういう、和希と紳介に満足げに俺らは笑った。
当たり前だろ。
俺たちの目が間違うはずがない。