黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
ふと月夜たちを見ると、新太はまだ中々月夜に当てられずに苛々している様子。
一回月夜の頬に掠めたが、平然に笑い、少し馬鹿にしたような言葉を掛ける月夜に、
更に顔を歪めていた。
「咲希斗」
「暁…っ、暁もそうだよね!?
はやく止めようよ!」
「―――いや、止めなくていい」
「っ!?
なんで!?」
「咲希斗は月夜が勝つと思ってるんだろ?
なら、信じていればいい」
「………っ」
「今更2人を止めたところで、無駄だ。
2人は納得せずにまた始めるだろう。
それに、この喧嘩月夜が勝つ。
見てみろ、咲希斗。
あの喧嘩の月夜の様子を見て、…負けると思うか?」
クルッと振り返り、ジッと2人を見つめだした。
暫くして、
「あはっ、そうだね。
新太も充分強いけど、…つっくんはもっと強いもんね」
自信たっぷりにそう言い放った。
この様子を見る分には、きっとどちらが強いかなんて一目瞭然だ。
必死な新太に対し、余裕そうに交わす月夜。
遠矢たちも、わかるだろう。
さっさと喧嘩を終わらせたくなったのか、月夜がようやく攻撃を仕掛け始めた。
それはどれも、新太の隙をついて鳩尾や頬などに命中した。