黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「勤くんも、大変だったね。
月夜から事情は聞いたよ」
「ご迷惑かけてすみませんでしたっ!」
「謝らなくていいんだよ。
君は確かにやっちゃいけないことをしたが、母親を助ける為にしたことだろう」
「……っはい」
「これからはもっと胸を張っていけよ」
「はい、今日はありが…――」
「礼を言う相手が間違ってるよ」
目に涙を浮かべながら頭を下げる勤に、優しく声をかけるつっくんの親父さん。
「俺は、ただ八木原組と店をクスリやってるから潰す、ってことを許可しただけだ。
今日は全て月夜が指揮していた。
礼をいうなら、月夜に言いなさい」
「月夜くんが…。
わかりました」
つっくんが、指揮したの…!?
何百といる組員を率いて………?
一つの組の若頭として、それは当たり前のことなんだろうけど、
俺はまだ組のことなんか全く知らないし、ましてや銃なんか使えない。
俺はまだ16で。
でもつっくんも16で。
暁や海翔に至っては、一歳も二歳も年上だ。