黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
つっくんが、全国No.1の麗桜組若頭……っ?
「名字、は?」
「柊は、母親の旧姓だ。
麗桜組だとバレないように柊を名乗ってる」
「なんで、バレちゃいけないの…?
教えて、くれなかったの……っ?」
教えてくれたって、よかったじゃん。
今までそんな大事なことを僕たちに隠して…。
「半分は、組の為。
組長や若頭は、命が狙われやすい。
若頭を消せば組長や組自体にダメージを負えさせられるし、
組長を消せばその組を潰せる。
全国No.1であるウチなら尚更のこと。
だから、そう簡単に〝麗桜組若頭です〟だなんて言えないんだ」
「消せば…、って、それは……」
「殺すこと、だよ。
この世界では当たり前のことだ。
族みたくそんな甘い世界じゃない。
生きるか死ぬかの境目に俺らはいる。
もちろん、おまえ等もな」
コロス………?
生きるか、死ぬか…?
そんなこと、わかってたつもりだった。
ヤクザの世界はそういう世界だって。
だけど、だけど…。
改めて面と言われると怖い。
それを、平気で言えるつっくんも、…怖いと思った。
つっくんは、ヤクザのことを熟知してる。
まだ、高1だと言うのに。