黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ







「サッキーの言うとおり。
そんなの、僕だってわかってるんだよ……」


「あ…っ、まっちゃ、ん……」


「わかってても!
どうしても、言えないことなんだ…。

いずれは、サッキーたちが知るときが来る。

そのときまでは、隠しておきたいの……」





やっと、口調が戻ったかと思えば、今度は弱々しい。


今にも泣きそうな、震えた声。





「僕だって、あんなこと友達のサッキーたちに言いたくなかった…。

でも、やっぱり月夜を傷つける奴は誰であろうと許せない。

それに、隠し事だってやっぱり言えないんだ。

ごめんね」


「まっちゃん……」






静まり返った室内。


入るなら今、かな。






「……理人」


「っ、…月夜?」


「泣くな。
お前は何一つ悪くない。
俺を庇ってくれたんだろ?
嬉しかった、ありがとう」






理人の頭を撫でると、またポロポロと涙を零す。


理人って、意外と昔から泣き虫なんだよね、まったく。







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