お伽話





後ろから名前を呼ぶ。
そうすれば、サンはルナに目を向ける。


「ここ・・・。」


「・・・初めて会った場所。」


「そうね、もう一ヶ月が過ぎたのね。思えば早かったわ。」


「・・・ルナ、・・・・ありがとう」


「・・・ふふ、いきなりどうしたの?」


思わぬ言葉に胸が疼く。


「俺は記憶が無い。そんな俺を・・・ここに置いてくれて、
・・・・・・名前をつけてくれて、」


嫌な予感がした。


「ここを出る。」


「!!!、ど、どうして、もしかして記憶が・・・」


「いや、記憶はまだ・・・。
それに出るといってもすぐじゃない。」


「・・・・。」

ルナは納得のいかない表情を浮かべる。


「心配するな、今日は楽しかった。」


悪いが、もう休む。


そう一言だけ残し

サンは部屋から出た。







このとき、ルナは追いかけなかった。
すぐに出て行くわけじゃない

その言葉を信じて・・・・・

そして夜が明けた。





< 45 / 57 >

この作品をシェア

pagetop