白衣の天使
「ところで、ニックとはどこで知り合ったの?」

喉の奥に引っかかっていた疑問である。気付かれないよう、横目でマリアの様子を伺った。

「・・・えっ?何か言った??」

ドライヤーの音で聞き取れなかったのか、カトレアはもう一度少し大きめの声で言い直すと

「学生時代の後輩。あまり親しくなかったのだけど、怪我をして私の勤めている病院に来たときに再会したのよ。」

照れた様な表情を浮かべながら、冷蔵庫からミルクを取り出し、コップに入れずそのまま飲みだしている。

「彼と居ると、不思議と運命的な何かを感じるの。」

髪をかき上げ、同性のカトレアから見ても、本当に素敵な恋をする女性のマリアがそこにはいた。

心配することはないのかも知れない。そんなマリアに少しホッとし、

「パパが聞いたら拗ねるわね。」

二人の天使は微笑み、今日は眠ることにしたのであった。

やはりカトレアはマリアにニックの母親のことを聞くことができないままで・・・。
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