致死量カカオ
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「……お前、死神みたいだぞ?」
「……元からです……」
目の前の高城の視線から逃げるように視線を落とした。
ああ、本当に今日は一日気持ちが悪くて仕方がない。未だに倒れていないことが奇跡なほどに気持ち悪い……。
朦朧とした意識の中で一日をやり過ごして、放課後になればいつの間にか教室にやってきていた高城の姿。
「えと……?」
何しに来たんですか、とか聞いていいのだろうか。
何となく分かってはいるんだけど。だけどそう思うには余りにも自信がなくて口に出すことが出来ない。
高城の姿でちょっとだけこの気持ち悪さがなくなった、なんていう今の自分の症状も信じられない気持ちだ。
お昼の時にも思ったけど……高城へのこの感情からくる気持ち悪さだっていうのに、だけど高城がこうやって話しかけてきてくれる、そう思うと少しだけ……。
いや、何か別の意味で体調不良なんですけど。
ちょっとだけ体は軽くなった気がする。
「じゃ、帰るか」
その言葉に、教室にまだ残っていたクラスメイトがザワザわっと騒ぎ出すのを感じた。
こんな風に、高城が彼女を迎えに来るなんて多分今まで誰一人ですら見たことがない。私自身驚き。
一緒に帰る姿は何度も見かけていたけれど……普通コースに足を踏み入れるという姿だけでも結構貴重だって言うのに。
この凡人豊海を迎えに来たなんて。