致死量カカオ

中毒症と依存症。

どっちも兼ね備えている私はおそらく。



愛を知らずに死ぬんだと思う。





「好きです」


来慣れない校内の片隅にある理系コースの校舎の、とある教室の前で私は思いきって口にした。

目の前にいる男の子は、私が高校一年の時から密かに片思いをしていた理系コースの高城くん。


相手は普通コースの私のことなんか知りもしないだろうけれど、それでいいのだと、こうやって足を運んだ。


私の突然の告白に、女の子が少ない理系コースは一気に騒がしくなる。

理系コースの校舎に、普通コースの見慣れない女の子が足を踏み入れるだけで騒がしくなるという噂は、本当だったみたいだ。


まるで自分が校内の人気アイドルになった気分だ。あり得ないけど。

廊下にいる人たちまで脚を止めて、告白の結末を待つようにこちらに視線を送る。


申し訳ないけれど、待ったところで面白い結末にはなりません。


と、わかっているけれど、この無言の時間が辛い。
視線は緊張と目眩で足下を見つめていたけれど、あまりにも目の前の相手、高城の反応が無い。

断るならさっさと断って欲しいのに。


そう願いながらそっと顔を上げると、目の前には好みの顔が……!

腰を折って私の顔を覗き込む彼の視線に、どくりと胸が大きく動いた。


――やばい。


そう口から漏れそうになる。

漏れたところでまあどうでもいいんだけど。


目の前にいる高城の顔が近すぎる。
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