致死量カカオ

高城と付き合ったのは1年の頃。


中学時代から付き合っていた彼氏と別れたとき、傍にいたのが高城だったから、冗談半分で「付き合う?」と口にした。

「……いいけど?」

なんて、返事をするんだもの。本当にいい加減なんだから。


同じクラスの高城のことを全く好きじゃない、なんてことはもちろんなくて。見た目はそこそこかっこいいし。実際、ほんの少しくらいは好きだったンだろうなあって自分でも思ったりする。


そこそこ顔が良ければ誰彼構わず付き合う高城にとって、自分は許容範囲だった、ということが嬉しく思ったりしたっけ。


……それだけなんだけど。


女の子にもてるのに、私以外に親しい女友達はいないから、ほんの少しだけ期待してしまうなんて案外私も乙女よね。


結局、付き合ってみると、ただの『彼女』扱い。


1週間で音を上げた私はなかなか根性がない。


でもあれ以上一緒にいるのは苦痛だったから。

傍にいれば、特別な彼女という立場を得てしまえば、どんどん深みにはまっていくような気がして白旗を振ったのは私。


こいつとは、友達でいよう。


そう決めて、別れを告げた。
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