致死量カカオ



豊海とは本当に昔から一緒にいて、男とか女とかそんな風にお互い意識したことはない。

まあ、普通。
惚れっぽい豊海に俺がいつもチャチャを入れて遊んでいたくらい?

すぐ惚れるんだから。しかも妄想はすごいポジティブだって言うのに、どこかネガティブ。その理由を知ったのは、豊海が一度ぶっ倒れてからだったけど。


ああ、豊海はやっぱりおかしいんだな。と色んな意味で思った記憶だけがある。

それからというもの、何回豊海の面倒を見たのかわからない。ほんっとうに、このままだったら俺まで巻き添えになるのかと思う程だった。


すぐ吐くし
すぐ倒れるし
すぐ下痢するし
すぐ惚れる


「……ほんっとうに何で豊海はそんなにバカなの?」


まだ白目の豊海に呼びかけるも、もちろん反応はない。そろそろ本当に寿命が近づいているのかも知れないね。せっかく幸せになれたのにね。

「……大丈夫かなー?」

豊海を保健室に連れて行って戻って来た千恵子が呟いた。


「生命力はあるから大丈夫じゃない?」

「……昭平……」


あきれ顔を見せる千恵子にクスッと笑いあった。
分かってる、俺らは二人とも豊海が好きなんだよ。あんなにバカで迷惑で汚いって言うのに、変なの。

だけど俺らを出会わせたのは豊海だし。

千恵子も俺も豊海が好きで、だからお互いに好きになったんだよなあ。悔しいけど。こんなこと一生豊海には教えてあげないけどねー。
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