授けられた力・消えた記憶

 「…」

声を殺して泣くカリンを見て、イワンは言葉を失った…

そしてイワンの胸は、何故か痛んだのだった…


 「カリンはカリンで、落ち込んでるのよ…でも、どうしたらいいかわからなくて…ここまで来ちゃったって事…」

歩を止めたイワンの横に並び、カリンの後ろ姿を見て言う。

 「そう…やったんか…」

イワンは自分の不甲斐なさに腹がたった。何もわかってやれなかった自分に…


カリンはどこに行くかもわからないこの道を、ただただ歩き続けた。

何も考える事もなく、止めどなく流れる涙を拭う事も泣く…

ふと、カリンの頭にルイの顔が浮かんだ。微笑むルイの顔が…

(ルイ…どうして…?)

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