授けられた力・消えた記憶
ルイを睨む彼女…
逃げようとはしない…
そこへ…
「ミミ、下がりなさい。」
低い、男の声…
「!王!」
王と呼ばれたその男…
鋭い黄色瞳…
尖った耳…
あまりにも長い5本の凶器の爪…
ルイの背後に、その人物は立っていた。
「君の力は見せてもらったよ。」
そう、王と呼ばれた男は言った。
ゆっくり、ゆっくりと、一歩ずつ近づきながら…
バン!!
ルイは、王に向かって銃を撃った。
だが…
「…」
「!きかない…」
弾は王に当たったはず。だが王にケガはない…
「私はあのような者達とは違う。」
そう言い、戦いが始まった。
鋭くとがった爪をルイに振り下ろす王。
それをどうにか交わすルイ。
銃の効かない王にルイは苦戦していた。
(銃が効かないか…そうなりゃこれを使うか…)
王はルイの力を確かめ、とどめをさそうと襲いかかったが…
グサッ!!
「うっ…」
王の腹部から血が流れた。
「何を…した…?」
ルイは片手に剣を持っていた。その剣の刃は、光に反射して輝いている。
「俺の最大の武器。」
「クッ…」
「王!」
ケガをした王の元にミミが現れた。
心配し、傷を塞ごうと手を添える…
自分の傷などほったらかして…
だが、王の目にはルイしか写っていない。
「うっ……君の力は素晴らしい。私の力にならないか?」
そう言ってミミを押しのけた。
自らの血に染まる赤い手を、ルイへと差し伸べる…
だが、ルイの答えは決まっている。
「そんな事できるかよ!」
そして王に剣を向け、とどめをさしに向かった…