授けられた力・消えた記憶
再び暗闇へと占領された部屋…
その中では、2人の人影が、戦っていた…
ルイへと立ち向かう女。
彼女は、物凄いスピードでルイに攻撃を仕掛ける…
鋭く尖った彼女の爪…
右から来たかと思えば暗闇に消え、左から…上から…
体制を立て直す前に攻撃を仕掛けてくる…
銃を構えても、すぐさま姿を消す彼女に、攻撃する事はできない…
(さっきまでの悪魔とは全然違う…素早さも攻撃も…)
そんな事を考えていた時だった。
ルイは女性を見失ってしまったのだ。
暗闇に消えた彼女…
攻撃をしてくる気配はない…
辺りを疑うが、気配もない…
「!何処に…」
「!あなたをここに導いたのは我が王の為。しかし、王は私に殺せと申した。」
「!!」
ルイの耳元でそう囁いた。だがそこには誰もいない…
ルイの額に汗が伝う…
そしてまた、暗闇から声が聞こえる…
「だから、死んで下さい!!」
頭上から現れた彼女…
女は長く伸ばした爪をルイに斬りかけ、襲いかかった。
しかし…
バン!!
ポタポタ…
放たれた銃声…
暗闇に血の滴る音が響く…どちらかがケガをした…
「うっ…」
そう声を上げたのは女性の方だった。
肩を抑え、フラフラと壁に寄り添う…
彼女は肩から血を流している。
抑えた小さな手は真っ赤に染まり、傷から流れる赤い雫は、地面に模様を作り上げる…
一方、ルイには傷はない。
確かに、彼女は素早さも攻撃も悪魔と違った。
だがルイには全てが見切れる物だったと言う事だ。
ルイは女性に銃を向ける。
「王ってのは誰だ?」
「…」
彼女は答えようとしない。
答えるくらいなら、死んだ方がましだというようにルイを睨む。