ちゆまど―世界は全て君のために―


「やめなさい、イナディアル」


「どうしてっ、こいつは父さんを傷つけ、ユリウスまで手にかけようとした!」


「父さんはもう大丈夫。ユリウスだって、イナディアルが守ったから大丈夫なんだ。だから、もうなにもしなくていい」


「でも……!」


「父さんからのお願いだ。イナディアルは優しい子だろ」


「……、優しい子だよ、父さんの子だから」


「それでいいんだ。ありがとう」


「許せないことも許すよ」


お父さんに抱かれたお兄ちゃんは笑っていた。


なぜここで笑顔が出るかが分からなかったが。


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