ちゆまど―世界は全て君のために―
「俺はよほど……」
死とは縁遠いらしいとシブリールは断頭台を消した。
ユリウスの近くに行き、彼女を抱き起こす。
【全てを還そう。我はまた中の住人に戻ろうぞ】
ユリウスの目と額に手を覆い被せて囁く。
戻るのは簡単だった。ユリウスが目覚める。
ぼけえとした目は、脳が正常に稼働していないからだ。
「ユリウス、終わったよ」
「……」
名前も呼んでくれない彼女に寂しさを感じたが、まあ時期にもとに戻るかと彼女を連れていこうとしたが。
「お、にい、ちゃん……」
ユリウスが真っ先に呼んだのは、自分の血肉を貪る兄だった。
「ユリウス……」
お兄ちゃんと呼ばれ、懐かしかったかイナディアルがこちらを向く。