ちゆまど―世界は全て君のために―
「まあいいですわ。そうですわね……あなたがある条件を呑んでくれるというのなら」
「条件だと」
「東ベルク帝国のことはご存知?」
「また帝国か。いったいなんなんだ」
「何かそちらもありましたの?」
「アリスとシュヴァルツが帝国に襲われた」
シブリールさんの言葉に、彼女はそうと指を組んだ。
「本格的にラグナロク一座を狩るつもりらしいですわね」
「そちらは何を掴んでいるんだ」
「帝国の暴徒、とでも言っておきましょうか」
空になったグラスにポチがワインを注いだ。それをテイスティングしながら、シンシアさんは語る。
「半年前、帝国にラーニャが殺されたのはご存知ですわよね」
「ああ」
「ラーニャ?」
「ラグナロク一座の一人だよ」
へえと頷く。