ちゆまど―世界は全て君のために―
「前々から戦争をする国とは分かっていましたが、ここ半年は目に見て分かるほどに多く。しかもか、国を乗っとり、民を手中に納めるならばともかく……民は根絶やしにされますの」
「根絶やしって……」
「乗っ取った国を開拓するわけでもなし、民を臣下にするわけでもない。戦争ではなく殺戮ですわ。ただの殺戮を繰り返し、草の根もない土地を生み出していきますの」
想像したのは無惨にも殺される人々。身震いがした。
「昔と今ではやり方がまったく違いますの。昔ならば、国と国、民と民を奪う戦争となっていましたが、今では。
第一、それほどの力、今までなかったはずですの。北、南、西と敗戦し、奪われた国がどうして今になってこんなにも強くなったのか」