+Black Blood.
「わッ、」

「今髪まっすぐにしてっから。無花果の髪傷んでてクセになってるんだよ」


しゅ、と霧吹きで髪を濡らし、ヘアアイロンでその髪を挟む。



「・・・・・・・なぁ律」

「あ?」

「零と律ってさ。兄弟だったんだな」


じゅ、・・・。


水分が蒸発し、乾いた音が鳴った。


「・・・零から教えてもらったのか?」

「あぁ。」

「似てないだろ?俺と、アイツ」

「・・・・あぁ。性格が全く違うと思う」



カタン、とヘアアイロンを置いた律。


「・・・・あの、さ。」


無花果の短く黒い髪の一部を細い鏝で巻きつけた。




「俺、と、兄貴の事怨んでるか・・・・・・?」




かちんと金具が外れる。



少し律の手が止まり、

「・・ん・・・・・。まぁ、怨んでねぇっつたら嘘になる」


「・・・・・・・・・・」



(・・・顔が、見れねぇ。あの日から)



「親も、ダチも、全部消されたかんな」


「・・・・・あぁ・・・・」


「俺はお前等軍が来る事、大体予想はついてたんだ。だから、直ぐ逃げた」


(コイツの、全てを奪ったのは俺)



「いちお、本社は1-4地区から離れた所にあって。そこに行ったら、自然に社長だよ」



黒髪が巻かれていく。



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