+Black Blood.
「どうやって生き延びてたとかは、もう覚えてねぇ」


ぐぐ、とスカートの端を掴む無花果。



「けど、時間が経つにつれてお前らの事ほとんど気になってなかったかな・・・・。会社が忙しかったてのもあるし」


「俺らの事を忘れてた?」


「あぁ。俺がまだガキん時だったしずっと怨んでてもアレだし。」


曖昧な言葉で意味をふやかす律に、首を傾げる無花果。



「・・・・まあ、零・・・・は忘れはしないと思うけど・・・・・・」

「・・・・零、?」

「アイツ色々あったみてぇだし。」



無花果の髪を巻き終えて、スプレーで形を整える。



「ん、出来た。」

「え、分かんない」

「ハイ鏡」


ぽんと渡された手鏡を覗き込む無花果。



短くはねていた髪は、緩く巻かれていて、クセを取ったおかげか少し長さが変わっていた。



「、」

「いんじゃね?」

「律はこう言うのが仕事なのか?」



手鏡を外し、後ろに立つ律を見上げる。



「まぁ・・・・・、今のはヘアレンジの分野だけど。やろうと思えばネイル・・・爪ね。とかメイクとかも勉強したからできるハズ。」



(より女の子・・・・・って感じだな。良い実験台が無料で入ったわ。今度からの練習台は無花果にすっかー)


と、内心律が思っていたのは無花果に秘密で。



「ありがと。また見せてな!」


「あ、俺より零のほうが上手いぞ」


「?!あんな手で?!ムリだろ、禿げる勢いでされそうだ!」


「いや~・・・それは無いっしょ。今度やってもらえよ」


「・・・・・・・・・・・不安だが・・・・・」




と、そのままの髪で部屋を出て行った無花果。



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