+Black Blood.
急に不機嫌になった零を見て、禁句ワードを言ってしまった事に気付く律。


「・・・・悪り、まぁ、とにかく考えといてくれよ」

「・・・ハッ、どうせお前なら金に物を言わせて俺を出獄させるんだろ?」

「さあ?まぁでも、今の立場じゃあ俺のほうが有利って事は明白だな」


お互いに皮肉を言い合い、終ったかのように律は部屋を出て行った。



「・・・・・・・・・ちっ」




その後姿を見届けて、零は浴室に向かい、そのドアを開けた。



「・・・零さま」

「っぎ!」


零を見た瞬間無花果が悲鳴とも言えない声を発し、香織に縋る。


怖がられた本人の零は。




「・・・・・・・何それ、可愛いじゃん」

「ハイ。伸びましたね、髪。ようやく結べるまでになったんですねぇ」


やんわりと笑う香織の手には、ゴム。

鏡の前に座る、2つ結びにされた無花果。



「でもまだ長さが足りませんね」

「同感。幼稚っぽい」


零は大して気にした様子も見せず、表情が固くなっていく無花果の髪を手に取る。



「・・・・・・傷んでる」

「・・・・・・・・・・」

「零様、・・・・・」


無花果を見て香織が気遣った。



「香織、ちゃん?これ、お前がやったの?」

「、はい。」

「上手だな。こんな短髪纏めるなんて」

「いえ・・・・昔、こう言う風に髪結いで遊んだ物ですから」


言葉で言いながら、心底嬉しそうな顔をする香織。



「・・・・いちじく」


びくり、と肩が震えた。


「俺が結んでやるよ」
「ぎゃっ・・・・・・!!!」


座ったまま、零は無花果を抱えた。



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