+Black Blood.

「零様、無花果様はまだ、」

「そんなひ弱だったか?お前」


自分の腕に無花果の膝裏を当て、ぐいと引き寄せ持ち上げる。それに共鳴する様に無花果が苦痛に顔を歪めた。



「・・・・・・来いよ、どうせ収容所でも相部屋なんだからよ」



香織が拍子抜けした顔をする。其処でも一緒だったのか、と。



「・・・・・・あまり無花果様を虐めないで下さいね」


その顔は、妹を取られる姉の表情。


「さあ・・・・?」

「やだ、香織ちゃん、」

「無花果様、一応貴女はミッションと言う仕事であって、いつまでも男性が恐いと言ってますと気の緩みから命を落としますよ?収容所に戻ったら嫌でも男性は居る訳ですし。どうぞ零様行って下さい」

「・・・・・香織ちゃん、」

強気な口調に怯む無花果。


「厳し・・・・」


いつもは無表情のメイドだったが怒る――いや、意を決した時はこんなに我が強い物なのか、と零はもう一度香織を見直した。


一度香織に目配せして、部屋を出た。




バタン。



「空ちゃん・・・・御免ね」


そして下ろしていた髪をまとめた。





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