+Black Blood.





『あ、ごめんね菖蒲ちゃん、』



“あの男”が、ゆっくりと綺麗な口角を上げる。



『君、可愛いから・・・・・・・・』




まだ肌寒い、春。



『でも、菖蒲ちゃんならきっと可愛い子を産むよ』





近くの小奇麗なホテルで、清潔なベッドのシーツを強く握る。

ちゅ、とあの男はキスを残して。



『出しちゃった』







――事故、だったのかもしれない。


あれは、自分が油断していたのもあったけれど、それを強いた“あの男”が、分かってて自分を抱いたんだ。



『・・・・・・・僕の所へ来てよ』



強制なプロポーズを断ったら、自分はどうなるのか?



『出来るだろう子供も連れて』



プロポーズと言えるのか?



『ッ!!!あんたが無理矢理つくった子供なんて要らない!!』

『強情な所が菖蒲ちゃんだよね。でも、僕本当に出しちゃったし。無理矢理って言うかこのまま菖蒲ちゃんが娼婦として一生を終えるより僕の所へ来た方が楽でしょう?』



女一人、しかも子供連れで何が出来るの?






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