+Black Blood.
「で、その後未熟児であんたら生まれちゃって。しかも双子。さらに女の子。」
「だから捨てたのかよ。身勝手すぎる」
ソファにどっかり座る菖蒲を嫌悪の目で見上げ、羽牙祢は毒づいた。
「いんやぁ?私はあんたらを捨ててなんかないよ。ただ、あんたらの親父に値する奴が出てきてさ。女の子が出てきたと知るや否や私が知らない間に捨てられちゃった」
煙草を持ちながら、いやぁ参ったとばかりに豪快に笑う菖蒲。
そして、ふ、と表情が消えた。
「・・・・・・・・まぁ、色々あってこの仕事に就いた頃にはそいつ殺したけど」
「そう言えば、ここって、」
今まで口を噤んでいた空羽が顔を上げる。
「国会政府、政府間特別捜査官の菖蒲。っつか長たらしいわよね」
(政府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、)
は、と我に返り辺りを見渡す。
「零、・・・・・・・ぜろは?」
そして、菖蒲が紫煙を吐き出した。
「会わせない。娘をあんな凶暴な男にやっかよ」
その目は意地として変わらなく、ぎろりと空羽を睨む。
「はあああ?!私は龍に零を殺されたくなければ抱かれろって言われてた!ふざけないでよ」
その言葉に羽牙祢が目を剥いた。
「はあああ?!あのガキんなこと言ってたの?!ってか空羽何で抱かれる?!」
ぐしゃり、と煙草が灰皿に押し付けられて、口喧嘩は更に悪化する。