ピンクの落書き
「え。」
最初に声を発したのは、ありすだった。
そっとそっと近づこうとしていた足は立ち止る。
うちは、硬直し声も出せなかった。
嘘……でしょ…?
なんで…
颯が手を振った先に…
琉那が…いるの!?
手を振りながら登場した琉那。
ここで颯と待ち合わせをしていたみたいに…。
「翼!あれ、琉那ちょんだよな?」
ありすが目を真ん丸に大きく開き、問いかけてきた。
学校に来なくて、うちでさえ久しぶりに見た琉那の姿。
「琉那ちょんて、学校来てなかったんじゃなかったの?なんか普通じゃん。病んでなくね?」
確かに、ありすの言う通りだ。
笑顔を見せている。
笑顔で颯と会話をしている。
うちの電話もメールも無視していたのに…?
笑顔になれるほど回復していたっていうの?
「翼!ありすが行ってくる!」
先頭を切って歩き出すありすの腕をつかんだ。
「……だ…、…め…」
声は聞こえないほどか細かった。