ピンクの落書き
「翼っ!音楽室行こっ」
教科書を持った琉那が寄ってきた。
こんな日に限って音楽か…
こんなにも音楽の授業を憂鬱に感じたことはない。
「先行ってて」
「わかった。行ってるねー!」
何も知らない琉那は笑顔で音楽室へと向かった。
今日は…音楽いいや。
サボろうとひとりで屋上へと向かう。
青空の下、ただ黙って座った。
「ごめんてっ!許してくれねーの?」
どこからか男の話し声が聞こえてくる。
この声…
どっかで聞いたことがある。
「おいっ!」
気になって、声のする方に行ってみた。
屋上の入り口の裏…
陰に座って電話をしていたのは、同じクラスの拓海。
「あ、翼。何やってんの?」
拓海の前に仁王立ちした。
「音楽サボり。拓海こそ、誰と電話?」
「彼女。って言っても、もう元カノだけど。」
「今別れたってこと?」
「そう」
「ドンマーイ!」
なんとなく拓海の隣に腰を降ろした。
「うるせーなぁ。いんだよ、そんな好きじゃなかったし」