ピンクの落書き
「どうしたの?カットされてるし…」
琉那が駆け寄り、声を掛けてくれた。
眉間にシワを寄せる琉那。
「やっぱ久しぶりにバスケやると、疲れるな!」
笑って答えたうち。
「でも、あと2分だから」
琉那はタイムを確認し、走ってアカネのマークについた。
こんなにバスケをやりたいと思ったのは、初めてだろうか。
こんなにバスケで燃えたのも初めて。
勝ちたいと思ったのも初めて。
部活では味わったことがない。
…颯の影響が大きい。
さっき、あんなバスケを見ちゃったからだよ。
こんな短時間に颯のバスケに憧れた。
綺麗なバスケをしてみたかった。
うちは相手を探し、単独行動をしている奴のマークにつこうと走りだした。
「翼っ!」
え?
不意に名前を呼ばれ、振り返った。
えっ!?
「ちょっと何入ってきてんの!?」
颯がズカズカとコート内に入って、うちに迫ってくる。
試合は自然と止まってしまっている。
「お前…突き指してんだろーが」
目の前に立ち止まって言った。
こいつは…いつ…気付いたんだ…?
普通に驚いた。
「は?してないし。全く絶好調ですが?」
と言ったが、露骨に嫌な顔を見せた颯。
そして、うちの右手を掴み…