ピンクの落書き
「いったあああああ!!!」
颯はうちの右手の指をぐしゃりと折り、拳を作らせた。
くしゃっと曲げさせられた右手の指たち。
もちろん突き指真っ最中の薬指さえも。
「ほら、痛いんだろ?」
ニヤリと笑みを見せるドSの颯。
「離せっ!」
颯の手から手を払った。
「ったぁ……」
さっきの痛さが残っている右手を、力を抜いたまま左右に振る。
嘘を見破るために…普通こんな事をするか?
「何。翼、突き指してたのっ?」
琉那が声を上げ、また駆け寄ってきた。
「ほらな」
振っていた右手を取り、琉那に見せる颯。
「うわっ、真っ青じゃん!なんで言わなかったの~?」
琉那はうちの薬指をまじまじと見ている。
「だって、言ったらバスケできなくな…」
「つうか、いいからいいから。翼は借りてくぞ?」
うちの話を遮ってわけのわからないことを言い出した。
「はぁっ!?」
「あ、どーぞどーぞ!」
「おい!琉那!」
琉那は部下のように、腰を下げ両手を前後させている。
「おう。んじゃ、4組ファイトーっ!」
颯は後ろにいるメンバーにそう声を掛ける。
そして、うちの腕を引っ張り歩き出した。