晴れ時々@先生の妹【第1巻】
「え、何をですか…?」
少し驚いた顔で躊躇をしている二戸 梨杏。
「足の傷跡だよ」
左足に履いていた靴下を足首までおろし、中村先生に傷跡を見せる二戸 梨杏。
「ほらっ、ここ。この薄茶色い点々…、ねっ、あるでしょ傷跡……」
中村先生が二戸 梨杏の細い足首を手で軽く掴み、そして顔を近づけながらまじまじと傷跡を見ている。
「―本当だ、歯形の傷跡がまだくっきりと残っているな―。この傷跡、秋田犬だろう!」
「……どうして、わかったの!?」
「当たり前だろ、俺は生物の教師だぞ!」
二戸 梨杏がボソッと呟く。
「“生物の教師”、それだけじゃないような気がする……」
歯形だけで分かるの!?
――先生、教師を通り越して、超人の領域だよ。
普通の人だったら、一発でまず犬種まで言い当てられない。