しいちゃん
ちょっと話があるんだけど
って声をかけられた。
声をかけてきたのは皆からまこちゃんてあだ名で呼ばれてる、まことくんだった。
まことくんはバスケ部のレギュラーで背も高い。中3なのに180近くあるんじゃないかと思う。
まことくんを見上げて話って何?と聞き返す。
改めてまじまじと見るとまことくんは端正な顔立ちをしているなあ。
まことくんは男の子版しいちゃんと言った感じで
まこと君がいるだけてその場がパッと明るくなる。
しいちゃんほど成績がいいわけではないみたいだけど、クラスでいつも他の子とふざけて先生に怒られたりして皆から笑いをとっているのに、テストの成績はどの教科も平均点以上とっていたり、体育祭では毎年応援団で三年生の今年は団長を任されていた。
つまり、まことくんはそんな人である。
完璧なのだ。完璧でみんなまことくんに憧れてまことくんが好きだった。
男の子版しいちゃんとはよく言ったもんだ。これほど分かりやすい言葉はない。
そんなまことくんが私なんかに何のようだろう。
しいちゃん繋がりで友達ができたとは言え男の子と特別親しくなった子は居なかった。だからかなんだか緊張してしまう。
こんなかっこいい人が私なんかと話してる、なんて意識し過ぎだろうか。