鈴の音が響く頃
「確かに、似ている部分はあるけど、違う部分も勿論あるね。…鈴姫は、かなりおっとりしていたけど、響古は逆だね。活発すぎる」
「それはオレも思った!」
思い出して笑ってしまう
まさか、階段で振り落とされそうになるとは思わなかった
「鈴姫と違うのは当然で、でも俺はまだ、鈴姫が忘れられない。俺の心の主は、まだ鈴姫のままだ…」
俯いたまま、紫が呟く
反論は出来ない。
オレも、きっと楓も
紫と同じ気持ちだ
だけど
「だけど、響古を受け入れる努力もしてる…だろ?」
空を見上げる
「まだ、紫の術も見破れない、ケツの青いガキんちょだが…オレは、響古の式神だ。主を、守っていきたい」
『同感だ』
楓が深く頷く
『あの者は清い…それ故、汚されやすい。まだお互い知らないことも多いが、私は奴が好きだぞ』
にっこりと、笑う
「…紫は?」
「…俺がいつ、響古が嫌いだと言った?」
…つまり、好きだと。
紫のひねくれた言い方にも笑ってしまう
やはり、鈴の魂を持つ者だ
人を集め、まとめ、率いる力がある
響古がこれからどれだけ
飛躍するか
…俺達も響古を守り
鈴姫の時のように…
失ってはいけない
「いた―――――!!!!!!」
「えっ!!!?」
「っ!!!??」
バッ と振り返ると、
扉の前に
息を荒くした響古が
仁王立ちで立っていた…