恋がはじまるよ
 地元の駅までは、両親が車で送ってくれた。

 母親は、東京まで一緒に来ると言っていたが、余計に寂しくなりそうだったから、地元の駅で別れることにしたのだ。

「ちゃんとゴハン食べるんだぞ」

「身体に気をつけてね」

 両親の声を聞いているだけで、泣いてしまいそうになったが、結衣は必死で堪えた。

 寂しいなんて、言っていられない。 

 今日から、結衣の新しい生活が始まるのだ。


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