AKANE

5話 旅は道連れ

「やるじゃねえの」
 藍色の布を頭から足首までを覆い隠す布を被った男が、木の上からぴょんと軽やかに飛び降りた。
 降りしきった雨はいつの間にか小雨へと変わっている。
「けど、さすがにこいつらじゃ相手にもならなかったか・・・」
 地面に転がる四体の残骸をごろんと蹴飛ばすと、ぺっと唾を吐き捨てた。
 男は被った布の下でくくくっと笑いをこぼした。予想外の面白い展開に笑いを堪えることができなかったのである。
(しっかしまあ、こんな場所にクロウ国王が登場するとはなあ・・・。それに、あの横にいた男・・・。風を操ってやがった。面白いじゃねえの・・・)
 くくくっと再び笑いを零すと、男は何かを思いついたようにピタリと笑いを止めると、ひゅうと一つ口笛を吹いた。



「気がつきましたか」
 ユリウスが丸椅子から立ち上がると、まだ夢うつつにぼうっと天井を見つめるフェルデンに歩み寄った。
 フェルデンの顔色は随分血行を取り戻し、熱も微熱程度に落ち着いてきているようであった。
「アカネに会った・・・」
 天井を見上げたフェルデンの横顔は、ひどく落ち着いていた。
 ユリウスは口を開きかけたが、言葉を口にするのはやめておくことにした。
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