AKANE
 この男の揺ぎ無い自信が一体どこから湧いてくるのか、本当に不思議なものだった。
「・・・けれど、こんな大陸から遠く離れた無人島で、兵を集めるなどと、一体どうやって・・・」
 よくぞ聞いてくれたとばかりに、ブラントミュラーは嬉しそうに部屋の壁を指差した。
 不審に思い、ベリアルが振り返って見た先には、壁に掛けられた一枚の額縁の絵。
「あれです、ベリアル王妃」
「あの絵がどうかしたのですか・・・?」
 絵には、天上界の様子が描かれている。
 無論、画家が考えた想像上の天上界だが、幾人もの翼を持った天上人達が優雅に天の泉で水浴びをしている。その背後に、眩い光。この光こそが、全ての父である創造主である。
「知っていますか? 信仰こそが人間の強みであり、力となるのです」
 この時、すでにブラントミュラーの計画は始まっていたのだ。
「信仰ですって?」
「ええ。わたしが創造主から兵を挙げよとのお告げを受けたと話せば、どれだけ多くの人間がここに集まるでしょうか・・・。今から楽しみですよ」
 ふふっと笑いを溢すブラントミュラーの頭脳に、ベリアルは驚き呆れた。
 そして、同じくしてこの男にもう一度だけ賭けてみようと、ベリアルは思ったのだった。


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