AKANE
いつだってクロウの近くで見守り、傍にいてくれた魔王の側近。しかし、アザエルはクロウが生まれるより以前にあの父ルシファーに忠誠を誓い、仕えてきたのだ。その張本人が蘇ったとなれば、元の居場所へと戻っても何らおかしな話では無い。
しばらく美しき魔王を見つめていたアザエルであったが、しばらくして静かにその足を一歩一歩とそちらへと進め始めた。
クロウは悲しみを堪えるように、じっと目を閉じた。
(・・・そうか・・・)
これで、クロウは本当に一人ぼっちになってしまった。胸を鋭い槍で貫かれたような痛みが突き抜ける。それは、心の痛みに他ならなかった。
「クロウ、まさかあいつがいないというだけで、諦めるんじゃないだろうな?」
ふとすぐ近くから心地よい凛とした声が降ってくる。
「立て、クロウ。おれはお前を信用している。あの魔王ルシファーなどではなく、現在のゴーディアの国王、クロウをな!」
クロウの前に、なんの迷いも無く差し出された手はあちこち傷だらけだった。
「フェルデン・・・」
見上げた先には、にこりと笑みを浮かべる優しい優しい騎士の姿があった。透けるようなブラウンの瞳は、クロウにひどく安らぎを与える。
「これが片付いたら、おれは王都を必ず復興する! そして、サンタシとゴーディアでもう一度初めからやり直したいと思っている。このレイシアに、真の平和を訪れさせる為に」
突然の告白に、クロウは大きな目を見開き、フェルデンの顔を見つめ返した。
「だが、それにはお前の力が必要だ。おれを落胆させるな、クロウ!」
地面についていた手をぐっと砂と一緒に握り締めると、クロウは無言のままゆっくりと立ち上がった。
しばらく美しき魔王を見つめていたアザエルであったが、しばらくして静かにその足を一歩一歩とそちらへと進め始めた。
クロウは悲しみを堪えるように、じっと目を閉じた。
(・・・そうか・・・)
これで、クロウは本当に一人ぼっちになってしまった。胸を鋭い槍で貫かれたような痛みが突き抜ける。それは、心の痛みに他ならなかった。
「クロウ、まさかあいつがいないというだけで、諦めるんじゃないだろうな?」
ふとすぐ近くから心地よい凛とした声が降ってくる。
「立て、クロウ。おれはお前を信用している。あの魔王ルシファーなどではなく、現在のゴーディアの国王、クロウをな!」
クロウの前に、なんの迷いも無く差し出された手はあちこち傷だらけだった。
「フェルデン・・・」
見上げた先には、にこりと笑みを浮かべる優しい優しい騎士の姿があった。透けるようなブラウンの瞳は、クロウにひどく安らぎを与える。
「これが片付いたら、おれは王都を必ず復興する! そして、サンタシとゴーディアでもう一度初めからやり直したいと思っている。このレイシアに、真の平和を訪れさせる為に」
突然の告白に、クロウは大きな目を見開き、フェルデンの顔を見つめ返した。
「だが、それにはお前の力が必要だ。おれを落胆させるな、クロウ!」
地面についていた手をぐっと砂と一緒に握り締めると、クロウは無言のままゆっくりと立ち上がった。