AKANE
 えらく念入りに確認をとるユリウスに、フェルデンは妙に引っかかったが、とりあえず小さく頷いておいた。
「え~~っと、なんと説明すればいいのか・・・」
「なんだそれは。大した用でないなら、後にしろ」
 しらっとしたフェルデンの目つきに、ユリウスは慌てて食い下がる。
「それはダメです!! え~~っと・・・、つまり・・・」
 首を捻ったフェルデンに、ユリウスは思い切って叫んだ。
「クロウ陛下が亡くなりました!!!!!」
 一瞬しんと静まり返ったその場。
「は・・・?」
 ユリウスの言っていることが理解できなかったのか、フェルデンが思わず素の表情で聞き返す。
「ですからっ、クロウ陛下が亡くなったんですってば!!」
「お前、一体何の冗談だ? いくらお前でも、それは行き過ぎた冗談だぞ」
 状況を全く理解していないフェルデンに少しばかり苛立ち、ユリウスはさっきよりもはっきりと言い切った。
「冗談なんかじゃありませんよ!! 本当なんです、これが!! 自分の胸に剣を突き刺して亡くなったんです!!」
 急激にフェルデンの顔から血の気が引いていくのがユリウスにもはっきりとわかった。
 勢いよく馬車から飛び降り、フェルデンは顔を強張らせたまま早足で城へと駆け出した。
「フェルデン陛下!! どうかされたのですか?」
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