AKANE

3話 誓い


 パレードを終えた馬車が城門から入ってきた直後、フェルデンを乗せた馬車の脇を必死の形相で駆ける小柄の騎士の姿があった。
「フェルデン陛下!! 大変です!!」
 そろりと下から見上げながら走り寄るユリウスを、また始まったとばかりに呆れ顔でフェルデンが苦笑して返答する。
「ユリ、今度は一体どうした。んっとにお前はいつも落ち着きが無いな・・・」
「陛下! それは一体どういう・・・、じゃなくて!! 大変なんですってば!!」
 一人突っ込みを入れる部下の様子を苦笑しながら眺めるフェルデンにとっては、慌てて報告にやって来るユリウスのことなど、日常の一コマに過ぎなかった。
「馬を止めてくれ」
 フェルデンは、部下に命じて馬の足を止めさせると、えらく興奮した様子のユリウスに向き直った。
「で、一体どうした?」
「フェルデン陛下、お、落ち着いて聞いてくださいね・・・!」
 はあと溜息を溢し、フェルデンが頷く。
「ああ。まずはお前が落ち着くべきだがな」
「ぜ、絶対に怒らないで下さいよ!? 約束ですよ!?」
< 552 / 584 >

この作品をシェア

pagetop