〇●ポーカーフェイス●〇
私は今にも泣きそうな声で
「や、やめてください」
そうほんの微かな声で言った
こいつからはできる限りの金を絞り取ってやろう
そう考えていたその時、男の手がなくなった
そしてぱっと後ろを振り返ると
「おじさん。犯罪者になりたいの?」
そう言って男の手を取り、睨みつける末永の姿
私は目を細めため息をついた
次の駅に着くと、末永は男の腕をとったまま降りる
「おい、お前も来いよ」
そう言って私まで強制下車
私は仕方なく末永の後をついて行った
しばらく歩き、人目につかないところで足を止め、男の腕を離した
「おじさん。痴漢は犯罪。知ってる?」
そう男に問い詰める末永
「私はやっていない。人違いだろう」
「あんな堂々とやってそれはねえだろうが。とりあえずこいつに謝ってくんね?」
そう私に目をやる
そんな末永の言葉に男はふっと鼻で笑った
「この子も嫌がってなかったし。むしろはあはしちゃって感じてたもんな?」
そう私にいやらしい顔で笑いかけた
「そうね、でも犯罪は犯罪。お金…」
と言いかけた時、
バコンッと鈍い音と一緒に男が倒れた
末永が殴ったのだ
「てめえ、こいつが抵抗してこなかったからって調子乗るなよ?」
そう男を睨みつけた
見たことのないような怖い顔
男は口元から出てくる血を抑えた
そして「ごごご、ごめんなさい」そう震える声で言った
末永は黙ったまま私の手を握り、駅の改札を出て、しばらく歩いた